トピックス 12月号


「エムケーシー経営者だより」
リスクマネジメントシリーズ(185)
世界的信用圧縮とヘッジファンドの破綻

 ロシアのルーブルの突然の切下げにより、中南米へその危機が波及してヘッジファンドの損失が表面化し、従来は日本の銀行のみが信用収縮で苦しんでいるのかと思いきや、欧米の銀行までがクレジットランチに直面し、世界的恐慌へと走る危険性さえ出てきました。ヘッジファンドの親元というべきLTCM(ロングターム・キャピタルマネジメント)の倒産で、米連邦準備銀行から緊急融資として35億ドルが援助されていますが、このことで最悪の事態を回避出来るかは疑問です。
 ヘッジファンドはもともと市場の「歪みを突く」ことを身上としています。大金持ちや機関投資家から私募形式で集めた資金を運用するグループを指しています。97年末のファンド総数は3千本も有り、運用資産は3680億ドル(49兆円)と言われています。別表の通りです。
 さらにヘッジファンドは、「四無主義」に基いています。
 @無国籍(登記者の国籍はケイマンやバハマといったカリブ海のタックス、ヘイブン諸国  が多く、実際の運用は本拠地と別になっています。)
 A監督官庁不在
 B業界団体(組織)不在
 Cディスクロジャー無し
  以上の原因から、ジョージ・ソロス氏自身がこの危機に際し、9月の米下院の公聴会で次のように言っています。「グローバル資本主義は、崩壊しかけている。国際的な金融監督制度の不備がいまの危機を招いている。」おそらく融資側に対するディスクロジャー等の規制が、今回の事件で作られるようになると予想されます。
 今年は、ヘッジファンドの活動により、タイを初めインドネシア、韓国、また、日本の金融危機もその結果で有ることは明白です。アジア各国の政治から経済危機をもたらし、国民生活水準の低下につながっています。世界的な連鎖反応がアメリカまでに及ぼうとしているのですから、世界的恐慌になるほどの危機だと思います。なんとか人為的に回避出来るよう祈るのみです。

ヘッジ・ファンド動向
    
運用資産額
(10億ドル)
ファンド総数
平均運用額
(10億ドル)
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
39
58
96
168
167
186
257
368
611
821
1,105
1,514
1,945
2,383
2,781
3,000
44
49
61
93
68
62
76
114
注) 1997年は第3四半期末                     
出所) Hedge Fund Research Inc.